反転if3
ぼーっと見つめる窓の先。
そこにいるのは二人の子。
きっとアスカを恨んでる二人。
あの女の子は今まであの双子に勝ってたんだ。まあいわば今のところ一番強かったわけ。
でも今回どうなるかな?今まで通りにはいかないよ?
あたしは面白い映画でも見るように眺める。
その視界は、2秒後遮られる。
ガッっシャーン
大粒の氷が弾けて散乱している。
あたしは飛んできたかけらを避けようとジャンプする。
でもいきなりのことで変な体勢。
__やばっこのまま行ったら足ひねるっ!
....あれっ?
あたしは空中で停止していた。
振り返ってみると見たことのある顔が。
「リョウタさん!」
リョウタさん。こっちが一方的に知ってるだけだと思うけど...。
「初めまして...大丈夫ですか?」
「あっ、うん!ありがとうございます!」
私は我に帰ってお礼を言う。
「えっと...ヨウコさん、ですよね?」
ヨウコ...? 誰かと間違えられてる?
「えっと....?」
「違いましたか?あなたがここにきた時そう呼ばれていた気がしたので」
ヨウコ....
そっか。あたしってヨウコって言うんだ。
「ううん、あたし、ヨウコです!」
ああ、なんだろう。この気持ち。
やっと生きてるって思える...。
「よろしくお願いします、ヨウコさん」
ヨウコって名前。
その言葉は、何もなかったあたしに与えられた一つの宝石。
燃えるように赤くてただ一つの宝物。
あなたにもらった「あたし」
虹色に見える
あたしの定義。
人生の始り
青い広い空も。
綺麗な朝の空気も。
夕方の赤い日差しも。
何も知らない。
でもね、この世の綺麗なもの全部集めたくらい。
あなたからのプレゼントが輝いてる。
燃える命と同じように。
照らしてくれる。今まで無我夢中で歩いてきた道のその先を。
アスカ。多分あなたはあたしじゃない。あたしじゃなくて、あたしが一番大切だった人なんだ。
一言覚えていた言葉。それがあなたの名前だったから。
でもあの管理者たちにはアスカって覚えられちゃったなあ。
でももう崩れそうにない。あたしの軸は。