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    sugarstar_7110

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    sugarstar_7110

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    17ダルと悪い事する話

    眠れない…。
    深夜を回った時間、眠れなくてモゾモゾとシーツの海でナマコみたいな動きをしていた。
    頑張って眠ろうとするほど眠れない。
    なんで眠れないんだろ…別に昼寝をした訳じゃないのに…。
    どうやっても眠れないので1度起きて何か飲み物を飲もうとキッチンに行く。
    暗い廊下を進んで行ってキッチンに入ると、冷蔵庫の扉が開いており中の光がぼんやりと漏れ出ていた。

    「誰…?」

    声を掛けるとひょっこりとランダルが冷蔵庫の扉から顔を覗かせる。

    「あれ、起きてたの?珍しい」

    2Lのペットボトルのコーラを2本抱えたランダルが足で扉を閉めて歩み寄ってきた。

    「身体に悪いよ、それにお兄さんに怒られちゃう」

    「別に?気にしてないし。カナコはなんで起きてるの?」

    「眠れなかったの、何か飲もうと思ったんだけど…」

    「コーラ飲む?」

    「怒られちゃう」

    「またそれ」

    ランダルはガリガリと顔のニキビを掻きながら私の顔を覗き込む。

    「カナコさぁ、良い子すぎるんだよ。他人に振り回されすぎ。もうちょっと悪いことしなよ」

    廊下の明かりで薄暗く見える顔は私をじっと見詰めてきた。

    「えぇ……悪い事って……?」

    「私がやってるようなこととか」

    「え……えぇ……うぅん……ど、どうやってやるの…?」

    「しょうがないなぁ」

    ランダルは私の手を掴んで早歩きし、自室に私をぽいっと放り投げる。
    ブルーライトしか光源が無い部屋はとてもぐちゃぐちゃだった。

    「これから悪い事をしよう」

    「何をするの?」

    「まず、夜中にジャンクフードを食べる」

    「えっ…?!身体に悪いよ…?!」

    「カナコも罪の味を知るんだよ、へへへ……」

    そう言ってダンボールの中を漁るランダル。

    「TA-DA 日清のカップ麺〜!」

    手には日清のカップ麺が2つ握られていた。
    カップ麺はあんまり食べた事が無いから凄く新鮮である。

    「カップ麺…あんまり食べた事なくて…」

    「なら、丁度いいや、食べようよ」

    部屋に設置してあるポットから出たお湯をカップ麺に注いで使い捨て用のプラスチックフォークを蓋の上に乗せる…がどうしても開いてしまうので最終的にはフチ子さんに乗ってもらった。

    「役に立つんだよ、フチ子さん」

    「私…フチ子さんが初めて役に立ってる場面に出くわしたかも…」

    待つこと3分。
    何もすることが無いので部屋の中をキョロキョロと見渡す。
    部屋の隅に5本ぐらいのペットボトルが不自然に並べてあって、なんだろうって触れようとしたらランダルが急いで止めてきた。

    「触っちゃダメ!!」

    「え……えっと……ごめんね……?あ……あのこれは何……?」

    「私の尿」

    「え」

    「捨てるの忘れてるだけ、ちゃんと片付けるから触らないで」

    ボ…ボトラーってやつだったんだ…

    「ちゃんとトイレに行ってね…あと…次私が来る時までには片付けてね…」

    「トイレ行くのめんどくさいもん」

    「もう……」

    そんな会話をしている内に3分経ち、プラスチックフォークとカップ麺を私に差し出すランダル。
    蓋を開けると美味しそうな醤油スープの匂いがして寝静まっていたはずの私の胃袋に食欲を掻き立てた。

    「いただきます…」

    ちらりとランダルを見ると、彼はフォークを使って麺をくるくる巻きとって食べている。
    そういえば、東南アジア系以外の人は啜るの苦手だってどこかで聞いたことがあったな。
    私は麺を啜ると、ランダルは不思議な顔をしていた。

    「啜るのはマナー違反だよ、兄さんも言ってる」

    「あ…不快になったらごめんね…えっと…日本では麺を啜るのが一般的で…あ…でもパスタとかは啜らなくて…東南アジア系の料理は啜って食べるの……と言っても日本の文化だから啜って食べるのは日本だけ……かな……」

    その言葉にキョトンとした顔を見せるランダル。
    私の言葉に納得したのか、彼は私を真似て麺を啜ろうとしているが上手くできないようだ。

    「なんでカナコは出来るの……」

    「ふふ…日本人でも啜れない人は居るよ…」

    初めて友達と食べたカップ麺はとても美味しくて楽しい。
    汁まで飲み干してしまった。

    「どう?悪いことした感想は」

    「偶になら悪くないかも」

    ランダルはにこりと笑って私の頭を撫でる。

    「また悪い事教えてあげる」

    「ありがとう」

    この後私はランダルの膝で寝落ちて翌日身体がバキバキのまま学校へ向かったのは言うまでも無い。(カップ麺食べた事もお兄さんにも怒られちゃった)
    でも…悪い事またやりたいな…
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