たい焼き 野宿には慣れている、というサンダウンのおっさんが、本当に手際良く火をおこす。
手持ち無沙汰で、ふと上を見れば、赤紫色に濁って澱んでいる空が目に入る。
だんだん暗くなってきたし、俺たち自身も疲れてきたから、たぶん夜になったんだろう。よくわからない世界で無理をするのはよくない、野宿でもして休んだ方がいい、と言い出したのは、サンダウンのおっさんだった。
せめて星でも見えたらいいのに、と、不穏な空を眺めながらぼんやりと思う。こんな森の中ならきっと、普通の世界なら、さぞかし綺麗に見えるだろう。
俺が住んでいるところからは、星はそんなに見えない。
家やビル、建物の明かりが夜でも光っているからだ、と教えてくれたのは、父ちゃんだったか、妙子姉ちゃんだったか、それとも、松だったか。
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