ジェ←モブ(not恋愛)罪な人だと、常々思っている。
ベロブルグの堅固な盾となることを志して入隊試験を受けたのは何年前か。入隊試験といっても、命令通りに動かせる手と足があれば誰でも合格した。当然のことだ。前線には人が足りない。
士官学校も出ていない自分は頼りない斧と甲冑を与えられ、歩兵として雪原を駆けた。駆けるうちに、志は次第に失われた。胸の内は弱音と恨み言に埋め尽くされ、生き残ることだけを思うようになった。そうした自分は今や隊長だ。なんのことはない。同期より長生きしただけだ。
それでもまだ退役までには折り返しという年齢で、シルバーメインから足抜けするつもりでいた。
恋人ができた。片目を失った。それで辞めたいと言う自分を責める人はいなかった。
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