ピアスホール 私の隣の席の彼は、いつも大きなピアスをつけている。左耳に2つ。右耳に1つ。
「あのー、そんなに僕の横顔が面白い?あんまり見られると照れちゃうな。」
隣の席の彼、オズは教卓の方に顔を向けたまま、てのひらだけでエイラの視線を彼の横顔から遮った。
午前の講義が終了し、昼休みに入ったときの事だ。
「……ピアスについて考えていた。」
「ピアス?どうして今更?」
そう、オズのピアスは最近の話ではない。出会った日から既に彼はピアスをつけていた。
「私の人生にとって、ピアスは無駄だ。」
「おっと、急だね。」
オズは笑いながら後ろに伸びをしてみせた。
「それを開けたのはいつ頃なんだ?」
「これはね、昔友達とおそろいで開けたんだよ。本当に昔。初等教育の頃にね。」
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