偶然の出会い2「これは黒澤さん。今度の商品も素晴らしいですな。」
「ありがとうございます。○○様。」
愛想笑いに社交辞令。どうでもいい話を仮面をかぶり媚び諂う社会…
反吐が出る―――
だがこれも組織のため…あの方のため。
多少の仮面は被らねえとな…
ホテルのレセプションホール内で重役と話して周るそれだけだが、俺には苦痛で仕方がない。
普段はこういう仕事はベルモットが変装して行うが、アイツは他の用事でいない。
重役がいないところで大きなため息を付いていると横にいるウォッカに心配される。
「兄貴、お疲れですね…」
「ああ…こんなところ早く出たいが…まだかかりそうだな」
ウォッカが近くにいた他の部下と話をしていると少しだけ表情が緩んでいく。
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