大事にしたくて ブラッドリーは憤慨していた。眉を吊り上げて呆れてもいた。派手好きなわりに節度のある照明に照らされるのは宝石でも銃でもない。死に際の呪詛を食らった俺の、見るも無惨な手だ。
「……痛いか?」
「全然」
「ははっ重症だな」
軽く笑い飛ばしたくせに、眼光は鋭い。存外きれいななりをした指先が塗り薬を取った。筋張った俺の手の甲へと滑らせると、ぐっと練り込むように力を入れる。手首から先は錘が吊り下がるみたいに、ぶらんと揺れ動いた。
「てめえの武器を大事にしねえって、どういう了見だ」
「うわ」
分厚い鱗のようにぽろぽろ浮き上がる肌から、煙が上がった。烟る先からチーズみたいに皮膚がこそげ落ちていく。痛みこそなかったが、正真正銘、俺の肌が硬くなったものらしい。剥がれる先から肉が覗き、すかさずブラッドリーは呪文を唱える。軟膏をたっぷり掬った手に包まれて、薬効に混ざった魔力ごと浸透していく。
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