転生パロもんけま(記憶アリ×ナシ)「留、余所見してたらはぐれちまうぞ。ぼさっとしてないでついてこい。」
「あーもう、分かってるよ。」
「なんだ、りんご飴が気になるのか?高校生になったとはいえ、まだ舌は子供なんだな。」
「うるせえよ。俺はりんご飴を食ったことがなかったから、ちょっとばかし気になっただけだ。」
へえ、お前ならりんご飴なんて飛びつきそうなものなのに、意外だな。文次郎はそう言いたげで、不思議そうな顔をしている。
「小さい頃、母さんにここの祭りに連れてきてもらったことがあったんだ。たまたま目に留まったりんご飴が幼心にすごくきらきらして見えてな。」
俺は3人兄弟の末だったから母さんは普段は当時中学生だった兄さんたちの世話で手一杯だった。漫画を読んだり友達と遊んだり、母さんに迷惑をかけないよい子の留三郎くん(10)は少し寂しかった。でもその日ばかりは兄たちが部活の合宿に行っていて、母が自分ひとりだけに構ってくれるのが嬉しくて、ついわがままを言ってしまったのだった。
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