イノセント彼は無表情な子供だった。彼の中には 硬く凍りついた スイッチがあった。それをどうやって入れるのか彼には全く分からなかった。 彼が認識している世界はいつも モノクロで色がなかった。 彼にはの心は凍りついたまま死んでいくかのように思えた。 ただ一人彼の世界には母親というものだけが認識されていた。母親はジャズピアニストで、いつも夕方からバーで働いていた。
彼の通う学校にはいくつかのクラスがあり、アラスターのクラスのには「のろま」 と呼ばれて いる 生徒が一人いた。 ロッカーに泥をぶちまけられたり、ドアから入った瞬間に足を引っ掛けて転ばされたり、そんなことをしてクラスメート達は彼を笑っていた。
ある夏の日、アラスターが水道で手を洗っていると、突然隣から鼻をつくような 腐った匂いが して 、何か ドロドロしたものを頭からかぶった その生徒がいた。 彼はアラスターを見るなり恥ずかしそうにへらりと笑って 目をそらした。
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