「仁王くん、私何度も言いましたよね。制服を着崩すのは校則違反です」
もうあと幾分かで四時間目始まりのチャイムが鳴るというときに想像もしていなかった声が頭上から降ってきて仁王は少し驚く。
「なんでお前さんここにおんの。もう授業始まるじゃろ」
登校日数ギリギリを常に攻めている仁王とは違い柳生はウチの学校きっての優等生だ。そんな柳生が授業をサボるなんて到底考えられない。
「なんでって……次は体育でしょう?」
「お、おん体育やね?」
確かに次の授業は体育である。しかし仁王には次の時間が体育なことと、柳生がこんな時間にここにいることがうまく結びつかず首をかしげる。
目の前で首をかしげている仁王をみて柳生はわざとらしくため息をついた。
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