と、いう事でのバイトを始めてから早ひと月。
今日はまず冷蔵庫を開けてチキチキ⭐︎冷蔵庫にあるものでどれだけ腹と心が満たせるかメニューを数点脳内のレシピからピックアップしながらも手に持った中華鍋を振ってじゅっ、といい音をさせている一品目の回鍋肉をお皿に移してから次の食材である牛蒡をささがけしていく。
澱みなく料理を作りながらも頭の中を占めるのはどうやったらあの元従者が贋作から興味を失うかであって。
(物理で叩き潰してもいいのなら、楽なのになぁ)
いっそこの世から無くしてしまった方が手っ取り早いのでは?という危険思考になりそうなのを、それじゃあダメだという理性が何とか、かろうじて、ぎりぎり何とか瀬戸際で思いとどまる。
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