「検証名:かわいい実験」.
U-20日本代表と、青の監獄。
奇妙な試合が発表されたのは、つい先日のことだった。
すでに国を背負っているチームと、反逆者であるフォワード集団。勝利した方が日本サッカーを担うという、下剋上もありえる大胆な試合にも関わらず、世間は監獄には注目しなかった。
結果は火を見るより明らかで、愚かな挑戦者に対して日本代表がどれだけ点数差をつけられるか、それだけで持ち切りだった。
◇
凪誠士郎は少しばかり困っていた。
U-20日本代表と戦うにあたり、監獄内では対策が立てられた。
上位6人を決め、それを中心に適性試験を行う。
輝かしく6人に選ばれた凪は、人より多くの試合をこなさなければならなかった。
その事実がすでに、億劫だった。
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