#3-2 青信号 「いらっしゃいま……お、お、オクジーさん!?」
ラファウは仰天した。
この男が店に来るときはいつもこうだ。
「あ、ラファウさん、こんにちは。会えて良かった」
「いやこんにちはじゃないでしょ! どうしたんですか!」
「あの、先日は、急に、しかもかなりだらしない格好でお邪魔してわがままを言ってしまって、改めてお詫びとお礼をと思いまして。これ、つまらないものですが……」
「いやそうじゃなくて!」
「へ?」
「へ? じゃないですよ、どうしたんですかその怪我!」
ラファウは自分のこめかみを指差しながらオクジーに迫った。
オクジーは左のこめかみのあたりに血の滲んだ大きなガーゼをつけていて、右目がぼっこり腫れていた。暴力を受けないと絶対にこうはならない怪我である。
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