Remnant -第二章-第二章: 小さなユートピア
朝の光は、都市のものとは違う。
ゆっくりと地平線の奥から昇り、霧に濡れた草を銀色に染め上げる。
小さな農場の敷地に並ぶ古びた鉢植え、修理途中の機械部品、濡れたスニーカーが無造作に転がる軒下──
それらを一枚の絵にするように、陽光が静かに滑っていく。
納屋の扉がぎい、と古い音を立てて開いた。
ひとりの男が、片手に作業手袋、もう片方には折れかけスコップの柄を抱えて外へ出る。
それを無言で肩に担ぎ、荷台へ放り込む。乾いた音が、朝の空気に響いた。
トラックは、年季の入ったシボレー
薄いグリーンの塗装はところどころ剥げている。
右側のドアには「触るな」のステンシル。
けれど、そのすぐ隣にチョークで書き足された小さな文字がある。
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