ひとみごろ「触らないで!!!!」
小さな手が大きな手を叩いた。
一刻ほど前、天使の助けを借りて暗くじめついた牢から小さな堕天使を助け出して、なんとか屋敷まで連れ帰ってくることができた。
しかしとても無事にとは言えない。嫉妬の悪魔によって少女の首につけられたチョーカー、これが厄介だった。どうやら人格や記憶を書き換えるまじないがされているらしく、小さな堕天使は嫉妬の悪魔を狂愛するよう虚偽の記憶を刷り込まれている。
自分が堕天した本当の意味も、自分が追いかけた大切な人も、全部なかったことになった。この首輪一つで。
「ののくん、お願いだから外させて…」
「これはメフィさまに貰った大事なものなの!アンタみたいな人攫いに触らせるわけ無いでしょ!」
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