The Contradictory Devil「『悪魔の証明』……ですか?」
ミチルはグラスを片手に小首をかしげた。隣ではブラッドリーが琥珀色の液体が入ったグラスを傾け、機嫌が良さそうにニヤリと笑う。
シャイロックに届け物をしてほしいとフィガロに頼まれて、少しドキドキしながら訪れた夜の魔法舎内のバーでは、ちょうどブラッドリーがカードゲームでムルに大負けしたところだった。何でもいいから気分転換がしたかったのか、ミチルの姿を見止めたブラッドリーはカウンター席に彼を座らせ、北の国の話や盗賊時代の話を聞かせてきたのだ。
北の魔法使いだと思うと少し怖かったが、ブラッドリーから次々と繰り出される話は面白く、シャイロックが出してくれたピンク色とオレンジ色が綺麗なグラデーションになったジュースも美味しく、ミチルはついつい腰を落ち着けてしまっていた。
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