会話が徐々に途切れていき、静けさに着地する。それでも気まずさを感じることはなく、穏やかな空気にふたりはそのまま身を委ねた。サーフは黙ったまま、目の前の碧色にきらめく双眸をじっと見つめた。
どこまでも透明なそれは、以前地上に降りたときに見た、底に緑を湛えた湖面をサーフに思い起こさせた。
話の中で、瞳の色を褒めそれに乗じてやたらと物を買わせようとする商人に旅先で何度か出会った話をゲイルから聞かされた。
商売の為の口実だろうが、商人たちの言うゲイルの瞳を綺麗だという言葉はまごう事なき本音なのだろう、とサーフは思う。
「リーダー」
ゲイルの薄い唇がサーフを呼ぶ言葉に形をつくる。
ゲイルは椅子から立ち上がるとそのままサーフのほうに身を寄せ、その手を握り指同士を絡ませてくる。さらりとした肌の感触と低い体温が、サーフの手の中にゆっくりと入りこんでいく。
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