ALL 鍾タル oki_w1MOURNING俺はお前の浮世の錠公子が地面に倒れ伏す。「あぁ~!!また負けた!!」負けたというわりには、彼は声を上げて笑っていた。その様子を俺は上から覗き込む。「以前よりは上達したように思うが」「何それ、嫌味?」「そんなところだ」「酷いなぁ、先生」公子が鼻で笑う。そのあと、公子は何を思ったのか、ぼんやりと虚空を見つめ始めた。「神様ひとり倒せないんじゃあ、世界征服なんて夢のまた夢か」「公子殿、俺はすでに凡人だ」「……でも、俺が世界を征服しようとした時、先生は必ず俺の前に立つ。そうだろ?」「無論」「それじゃあ、俺はやっぱり先生を倒さなきゃね」よいしょ、という掛け声とともに、公子が立ち上がる。先ほど思い切り蹴りをいれたせいか、公子は一瞬顔を歪める。しかし、口には出さず、何事もなかったかのように男は立ち上がった。「痛むか」「別に、どうってことないよ」「そうか」にこりと笑う公子に、俺は口元を緩める。少しだけ、いじらしいと思った。公子は目を細める。「先生、今面白くないこと考えてたでしょ?」「公子殿の勘違いだろうな」「ふぅん…?」公子はあまり納得のいかない様子だった。こ 2235 oki_w1MOURNING想いは琥珀のなかに※3章ネタバレ注意大きな音を立てて、琥珀が割れる。その様子を見て、タルタリヤはほっと息をついた。仲間の中ではかなりの戦力で、危険な任務には必ずと言ってもほど同行するタルタリヤだが、彼には1つだけできないことがあった。「……。」タルタリヤは眉を顰め、目の前の砕けた琥珀を見下ろす。彼は、採掘が非常に不得意だった。弓を武器にしているから仕方ないのだが、双剣に変えても難しいことに変わりない。だから、こうして仲間に毎度毎度頼んでいる。「今日は大きな収穫はなさそうだね」「ああ、そうみたいだ。まったく、もう少し俺が活躍できる場っていうのがほしいな、相棒」「はは、ごめんごめん」侵入者を忌み嫌う仙人の仕業で、大きな琥珀からは生き物が採掘される。…割れた瞬間に襲われることもしばしあるが。タルタリヤは琥珀の欠片を一つ取り、太陽の光にかざしてみた。「彼」の瞳に似た色だった。「鍾離先生、元気にしてるかな」「どうだろう、最近会っていないね」「まぁ、どうせ先生のことだし?のんびり一人でお茶でも飲んでるんじゃない?」「うん、そう思うよ」キラキラと光るそれが眩しくて、タルタ 2463 1