高い 白く長い睫毛。その向こうから青く透けた光が金髪の青年に訴える。今こうして見える輪郭は仮初のものだということを。口元に向かってなだらかに伸びる鼻筋。その上で佇む第三の瞳が開く様を青年は目にしたことはないが、きっと青色が宿っているのだろうということだけは分かった。透けた体の主が口を開く。
「貴殿から見れば……ここは墓場の如き場所だろうな」
青年はその言葉を黙って聞き、そしてそのまま声の主の横顔を見た。そこに諦念はなく、望郷に似た何か光のような、青年の知らぬものがあった。声の主はその大きな体躯を真っ直ぐに伸ばし遥か空へ向かう。豊かな白い髪の合間の山吹色が日向のようだと青年は思う。青年のいた大地よりも太陽に近いこの場所では、傾く陽の光があまりに眩く輝く。その橙を宿す白い髪が風に揺れ、草の匂いを青年に届けた。青年は自身の頬を叩く横髪を手で払い、青い光に包まれたその人を見上げる。これまでも様々な種族に出会ってきたが、その中でも青年の目の前にいるこの人物は殊更上背があった。青年は自分の首筋をさする。青く透け光るその人は青年の方をちらりと見やり、それから辺りを見渡し、角の欠けたような石材の上へと腰掛けた。青年からは到底その体重に耐えられるようには見受けられなかったが、石材はただ静かにそこにあった。
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