未精通だけどおっぱいが好き「千冬、お前どっち派?」
街頭インタビューよろしく、横にしたB5のノートを片手に廊下を歩き回る男子生徒に声をかけられた。こいつは確か、場地さんのクラスメイトだ。顔馴染みくらいの同級生にまで下の名前で呼ばれていることに少し驚きつつ、手渡された丸いシールを迷わず右の欄に貼る。
「わざわざこんなのまで用意してんのかよ」
「おう、百均で買ってきた! つーか即答じゃん」
「心は決まってんだよ。男たるもの、こっちだろ」
「ま、わからんでもない。千冬、サンキューな!」
バンバンと指で弾かれたノートの真ん中には大きな縦線。そして左右に分かたれたスペースには、たくさんのシールが貼られていた。色が大きく偏る右側には「おっぱい」、やや白紙が目立つ左側には「おしり」。それも、下手くそなイラスト付きで記されている。
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