ミズヒヨお初「お邪魔します」
ドキドキと足を踏み入れると、「お茶をいれるから楽にしていて」と告げてキッチンに消えたミズキさんに、けれども落ち着かずにその場に立ち尽くす。
(本当にミズキさんの部屋に来ちゃった……!)
いつかは行ってみたいと思っていた恋人の部屋。でもいつも「それは僕の性別を確かめたいってことかな?」と揶揄され、真っ赤になって流されてしまっていたから、今日こそはと特別なこの日を有効活用したのだった。
(やっぱり素敵……)
品のある調度類に、綺麗に整頓された室内。
突然行きたいと言ったにも関わらず整えられている様は常からそうである証で、高揚しながら室内をつい見渡してしまう。
一人で住むには広すぎるのは、以前お兄さんと二人で住んでいたからだろう。
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