「ねえアズール、俺らが浮気したらどうする?」
VIPルームでフロイドの質問が降ってきたのは唐突だった。頭のなかにうずまいている錬金術のレシピやら、先程飲み干したジェイドの淹れたハーブティの味やらの懸案事項を少しだけ脇に避けておいて、アズールはフロイドの言葉を考えた。
「浮気……?そもそも僕らは……」
言葉の途中で、はっとする。
最初に確認しておくべき重要な前提条件があった気がするのだが、三徹目の疲労がのしかかるのを気合いで跳ねよけなんとか覚醒を保たせている頭はどこまでもとっ散らかっていて、過程をすっ飛ばし彼らの言いたいことを唐突に「理解って」しまった。ただの支離滅裂とも言う。
「つまりお前達、出会ってしまったんですか……僕より面白い奴に……」
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