図書館師直は直義に付き添って図書館に来ていた。
「ちょっと調べ物があるから適当に時間をつぶしててくれ」
そう言われ、1時間経過。中に入り探すと、本棚と本棚の狭い通路で立ち読みしていた。良くも悪くも集中すると時間を忘れてしまう。ため息をついて近づいていくと、先ほどは付けていなかったヘアクリップが目に付く。男物らしかった。今日の直義の服装はワンピースだし、普段の好みからも合っておらず、違和感があった。
「直義様」
「ん?あれ?そんなに時間経ってたか」
「それ」
ヘアクリップを見る。
「あ、これは憲顕が貸してくれたんだ。勉強中に邪魔そうだからって。」
憲顕とは同じ学校でよく一緒に勉強をする仲。師直は既に社会人なので、週に1回会えるのがやっとだった。どうしようもなく物理的に埋められない溝だった。師直は直義を後ろの本棚に追い詰め、
840