「船長! なんか網にかかってやす!」
とある海賊団。長い航海の途中、食糧である魚を得るために網で漁をしていた。
「大物か!?」
船長と呼ばれた金髪の男は、声を上げた船員の傍へ駆け寄った。
「大物、というか……いや、デカくはあるんすが……」
「見せてみろ」
船員を押し退けて船長が網を引き寄せると、海中からザバァと音を立てて『ソレ』は姿を現した。
「人!! 人間じゃないか!!」
急いで引き上げろ!! 船長は持ち前の大声で船員たちに指示を飛ばした。
徐々に姿を現したソレは、半透明の衣を纏っていた。細長い装飾が網に絡まってしまっている。白磁のような肌、整った顔はまるで人では無いようだ。そして――実際にソレは人間ではなかった。
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