最初の日「はい、じゃあこれ鍵ね」
大家の男はチャリとキーホルダーでまとめられた二本の鍵を差し出した。
「よろしくお願いします!」
司は目を輝かせながらそれを受け取る。
「これからよろしくお願いします」
隣にいた類も深々と頭を下げる。
「何かあればすぐ言ってくださいね」
ありがとうございますと二人は答えると、挨拶もそこそこに大家の家を後にした。
司は受け取ったばかりの鍵を一つ、キーホルダーから外す。
「ほら」
差し出された鍵を眩しそうに一瞥し、類はそれに手を伸ばす。
「これからもよろしく」
少し照れくさそうにはにかむ類につられて司の顔も緩む。
「こちらこそよろしく頼む!」
二人はそれぞれ大切そうに鍵をしまうと、手を繋いで歩き出した。目的地は――二人の新居だ。
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