日帰り温泉の予定が乱交セックス旅行になった話 襖に手を掛けたところで時間が、空気が止まった。部屋の中では握野さんたちがゆっくりお酒を飲んでいるはず。それなのに部屋の中から矯声が聞こえるのはなぜでしょう。私が大浴場へ行っている間にそういうビデオでも持ち込んで……それにしては女性の声が聞こえませんね。
ガタン、と右手の扉からも音が立つ。お手洗いの個室……どなたか体調を崩されているのでしょうか。
「ひぃ、あぁあ♡ はあっ、あ"、ぉ♡」
「え……」
そのやらしい喘ぎは鷹城さんの声に似ていたが普段の端正さから程遠くて確信が持てない。煩く早く打っている心臓を浴衣の上から押さえつけて、ゆっくりと右肩を開いた。迷った振りをして襖を一瞥したものの、一人でそちらを確かめる勇気は出なかった。
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