時は、まるで流砂のようです。
さらさらととめどなく流れ、予想だにしない場所まで運んで行ってしまうかのよう。ああ、そう言うと、水とも近いのかもしれません。
流れる水が、ごつごつとした硬い岩を削っていく。
それは凡人たちにとって眩暈のするほど長い時間。
私たちにとっては、瞬きにも満たない間。
今日も、仕事です。まばゆい太陽が照らす、璃月港を歩いていると。
「……か・ん・う・さーーーん」
「ひゃっ」
後ろから忍び足でやってきて、私をおどかしたのは薬師の少女。まだ年若い見た目でありながら、いいえ、だからこそ山間にひっそりと生える薬草を摘むことが出来るのでしょう。
「ふっふふー」
彼女はいつもいつも、私を見かけると、こうしておどかしてくるのです。
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