クローゼットの奥、あるいはベッドの下2(ジャミカリ)ジャミルの頬を指の先で、引っ掻いてしまわないよう気をつけながらていねいになぞる。するするした柔らかい皮膚、その少し上のまつ毛に覆われている間から夜空がのぞきこんだ。きらきらと輝く虹彩にしばらく目を奪われていたら、もうおしまいと意地悪をするように目をそらされてしまって、もう少し見ていたかったのに。なんて子どものわがままのように名前を呼ぶと、優しい彼は眉根を寄せながらだけれどちゃんとこっちを向いてくれる。
「あはは、そんな難しい顔してたら、そういう顔になっちゃうぞ」
「誰のせいだと思ってるんだ、お前は」
「え、オレか〜?オレは、ジャミルにはずっと、いまみたいに綺麗でいて欲しいけどなあ」
「っ、べつに」
頬を赤くしてまたよそを向かれてしまった。まつ毛がくっつくほど近くにいているから、全く見えないというほどじゃないけれど。ずるずると身体を引き摺って、もっと近づいて、ジャミルが距離を開けようとしてうっかりベッドの下に落ちてしまわないように抱きついた。
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