剣舞迅嵐 宴は賑わいをみせていた。
戦争続きの昨今、束の間の休息という名目のその催しはその実、権力者たちの腹の探り合いをする場でしかない。
今行なっている隣国との戦争はあと少しで勝利するところまで来ていたが、それが終われば今度は敗戦国の分配について同盟国同士で争うことになるだろうことは火を見るよりも明らかだった。
だからこそ、同盟国の権力者が多数集うような場は重宝された。笑顔の仮面をつけて、次はどう動けば、誰につけば利となるのか、または不利にならないのか、見極めるにはもってこいなのだ。
主催者である城戸のスピーチが終わり、立食形式の会場で参加者たちは思い思いの場所で話に花を咲かせている。テーブルの上に乗っている料理は全て今夜のために集められたシェフたちが腕によりをかけた一級品ばかりだったが、参加者の興味が飲食にないことは明らかだった。
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