昨日の逆夢 明日の正夢 七海はカミサマとやらの声を聞いたことがあった。まだ、この世に産まれ出るよりも前のことだ。
すでに痛みも意識すら曖昧な中、ツギハギの呪霊の手が胸に触れた。そして、ぼこり、と上半身が波打った瞬間、その声が聞こえた。
【汝、次の世で何を望む?】
脳内で反響したその音が、本当に神様かどうかだなんてわからない。死に際に見た幻覚だと言われれば、そうだとも思う。
ただ、消えゆく意識の中で、たった一人の親友だった男と恋人の安寧を願ったことだけを覚えていた。
生まれた時から、七海は違う人生の記憶を持っていた。まるで古いアルバムのような、色褪せた記憶。その中で、七海は親友に恵まれ、愛した人と恋人となり、そして戦いの中で死んだ。
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