先に食べ終わり、空になった食器を前に頬杖をついて、薫は目の前でハンバーグを頬張っている後輩を眺める。
よく食べる彼のために沢山用意した大きめのハンバーグ。
半分は明日の朝食用に取っておくつもりだったが、何度も唱えられるアドニスの「おかわり」によってほとんどなくなってしまった。
明日の朝ごはんは別にして、辛うじて残ったハンバーグはお弁当にでも入れようか。
そんなことをぼんやり考えながら、薫はもくもくと口を動かしているアドニスを見つめた。
薫に、こうして人が食事をしているところをまじまじと眺める趣味はない。しかしアドニスは別だ。
学生の頃から幾度となく食事を重ね、彼が食している物も店で出されるスイーツから自分が作った肉料理に変わった。
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