おばけ約束しよっか。ここで見たもの聞いたこと。
約束してね。誰にも言っちゃいけないよ。
約束だからね。この事は。
二人だけの秘密だよ。
私がまだこの家に来たばかりの頃。
まぁ、まだ慣れないだろうけどここを我が家だと思って自由に過ごして欲しいと師が最後に言った事。
「だけどこの部屋は俺と彼女の部屋だから君は入っちゃいけないよ」
師の言う『彼女』とは。
────────────────────
「きょうかん?」
朝起きると師は既に家を出た後だった。
師が用意して置いてくれた朝餉を済ますと少女は師が留守なのを良い事に駄目だと言われた襖をそおっと開けて中を覗く。
好奇心の塊である幼子に駄目の言葉は煽るだけだ。
約束を早速破る事にどきどきしながら覗くと部屋は窓を塞いでいるのか暗く心做しか空気は重たく感じられ薄らと肌寒かった。
1332