貴方は後悔していた。真夜中にひとりで出歩いてしまった事を。見知らぬ男に誘われてついて行ってしまった事を。
低く良い声で
「私と今晩どうかな、お嬢さん」
と言われて警戒しなかった事を。背が高くて顔も良くて、所謂"水も滴るいい男"と言うのが正しいか。手を引かれてついて行った先は……
廃坑のような場所。男は突然貴方の手を離して突き飛ばした。地面にずさっと倒れる貴方。何するのよ!と言おうとしたが、男が言葉を先に発した。
「10数える間に隠れろ。私から逃げ切れるかな?」
そう言う男の声は何処か愉快そうに聞こえた。誘われた時のものとは違う声色に身の危険を感じた貴方。
早く隠れなきゃ。貴方は全力で走って隠れる場所を探す。
1310