パラチニットちゅ。短い口付けを一回。二回。司くんの柔らかく温かい唇へ自分の唇を押し当てるだけ。交わる唾液も、生々しい水音もないけれどそれだけで十分だった。
キスをし終えた、自分より少しだけカサついている彼の唇に親指の腹を滑らせる。ふにふにと控えめに押し、感触を楽しむ。…親指にかかる吐息が暖かい。
「…類好きだよな、これ。」
「これ…ああ、キス?」
「……なんかキスって言うの恥ずかしい」
男子高校生のくせに。いや、だからか?可愛いだなんて思いながらもう一度短い接吻を交わした。
まあ、普通ヤリ盛りの男子高校生がキスって言葉を恥ずかしがるなんて字面も可笑しいのだけれど。惚れた弱みというか、可愛いのが悪いというか仕方ないというか。
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