瞬きの合間ですら視界に貴方が居ないことはもう堪え難く、しかしそれを素直に口にするには羞恥と恥とちっぽけなプライドが邪魔をして未だベッド以外で好意すら伝えられない。現状に甘んじているのはこんなつまらない意地を死ぬまで張り続けても将校殿は私を愛してやまない、という自惚れ塗れの自信があるからで。
だからほんの少しだけ、狡い事をする。元はと言えばこの手を使ったのはあのひとが先だから、叱ろうなんて考えないでほしい。
「…………」
「すき、すきです、飼い主さま。すき、ふふっ…」
胸に擦り寄ってくる参謀に表情筋が強張る。貴方の為に素直になってやりました、との旨が書かれたメモを両手ににこにことしていた。…オレの、部屋で。
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