比べるものじゃない「ごめん、ニキ」
アパートに帰ったら燐音くんが暗い顔をして立っていた。今すぐにでも死んじゃいそうなぐらい、この世の全てに絶望した顔。
最近そんな顔してばっかりだ。具体的になにかあったのかもしれないし、なにもないことが彼を責め立てるのかもしれない。
「……何を謝ってるの?」
謝られたのははじめてではない。燐音くんはずっと後悔してるらしい。僕を巻き込んだことを。そんなの今更なのに。
「せっかくアイドルにしてもらったけど……、俺そんなにアイドルやりたくなかったのかもしれない」
うそだな。当たり前だ。そんなことは考えるまでもなく解る。だから僕が考えるべきは、なんで燐音くんがそんな嘘をついたのかってことだ。
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