赤ずきんパロ1 可愛い可愛い暁の君。森には恐ろしい狼がいるから、決して道を外れてはいけないよ。優しく声をかけられても、付いていってはいけないよ。襲われて食べられてしまうからね。
赤い頭巾は僕からの贈り物。銀色のブレスレットは彼からの贈り物。決して無くさないように。
【誠の恋をするものは、みな一目で恋をする】
「まーるいくっきー! あったかガレット! 今日のオヤツは何だろなー」
木漏れ日の差す林道を、赤い頭巾を被った少女が軽やかな足取りで進む。思いつく限りの言葉を歌に乗せてリズム良くステップを踏む少女は、葉っぱの隙間から落ちる陽光によって優しく照らし出されていた。
たんたかたっ。たんたったっ。
周囲には色とりどりの蝶が舞い、頭上では小鳥が囀り、森そのものが少女のバックダンサーに徹しているかのようだった。鱗粉を纏って煌めく少女の姿を見ている者がいれば、まさにミュージカルの主役に違いないと褒め称えたかもしれない。やがてくるりと回ってポーズを決めたところで独りぼっちの公演は幕を下ろした。
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