光芒「おまえのせいだよ」
言葉とは裏腹に、オーエンは悪戯が成功した子供のような顔で笑った。するり。絶句する私をよそに、小指に絡められていたオーエンの小指が離れていく。『死ぬまでお互いのことを忘れない』。たった今一方的に交わされた約束が夢や幻ではないことは、指先に残るやわらかな体温が物語っていた。
皆で力を合わせて倒したばかりの《大いなる厄災》は、色とりどりに輝く欠片となって夜空を彩り、地上に落ちる前に光の粒となって消えていく。賢者としての役目を終えた私もまた消えかけていて、とうとうこの世界に別れを告げるときが来たことを知らせていた。空を見上げて勝利の余韻に浸る皆は、うっすら透けはじめている私に気付いていない。もしかしたらすでに私のことを忘れているのかもしれなかった――ただひとり、オーエンをのぞいては。
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