キスの日2022「なあサムライボーイ。キスしないか?」
ある日のこと、金剛の自室へ招かれた慶志郎は急にそんな事を言い出した。
初心でキュートな恋人に慶志郎はすっかり夢中だったが、それでもキスのひとつはしておきたいと思ったのだ。
「キス?」
「接吻と言った方が君には通じるか」
実際、接吻の方が横文字に疎い金剛には伝わったようで、彼の顔がカッと赤く染まる。
持っていた湯呑みを右往左往させてちゃぶ台に置いたあと、彼は慶志郎から顔を逸らす。
「え……俺と、お前さんが?」
「当たり前じゃないか、他に誰とするんだ?」
「いや、俺たちにはまだ早いんじゃあないか?」
金剛は学帽の鍔を下げ、更に俯いた。
予想通り、いやそれ以上だ!
「何故そう思う?」
初心な恋人の反応に慶志郎は内心ほくそ笑むがそんな事はまるで表に出さず、優しく何故躊躇うのかを問う。
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