さかさうさぎ「なあ……これで、合ってるか?」
間接照明の仄かな明かりの元、金剛が目の前の人物に困惑気味に確認する。
二メートル近い身長に、並々ならぬ鍛錬を伺わせるガッシリとした筋肉質の肉体。
普段なら瞳の奥に静かな炎を燃やす、ともすれば野暮ったくも見えるが男らしい顔立ち。
……なのだが、彼は黒髪を僅かに揺らし、ただ戸惑うのみだった。
それもそのはず。金剛の頭の上には兎の耳を模したヘアバンドが着けられ、彼の逞しい身体をバニースーツが包んでいた。
漢気の塊のような彼は、いつもなら目の前の恋人に女装を頼まれた所で恥じらいはしない。
しないが、それは常識的な布面積が確保されている場合での話だ。
スカート丈がミニどころかマイクロなミニスカナースも、淑女が着るようなふわふわのドレスも、期待で興奮して頬を朱に染める事はあったが決して恥じらわず、堂々としていた。
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