雨想と晴白 穢れを受け止めすぎた自分の身体が黒く染まりほろほろと崩れていく。
意識の遠くの方で私を呼ぶ主様の声が聞こえた。必死に伸ばした手はきっと間に合わないだろう。
霞む視界の中、駆け寄る主様の顔は見たこともないくらい悲しそうで、もっともその表情が悲しみだと教えてくださったのはあなた様なのだけれども。
間に合わないと思っていた主様の手が肩に触れ、その白い清らな召し物が煤汚れた。
「いけません、主様……汚れてしまいます……」
「何を言っている!どうして、こんな……」
私を抱きとめた主様の震える指が小さく浄化の印を結ぼうとする。それこそ間に合わないだろう。
作り物の体が冷えて崩れていく。それ以上に生まれたばかりの小さな仮初の心がこの方の側に居れなくなってしまう寂しさではち切れそうだった。そんな寂しさと悔しさで埋め尽くされた心がほろりと小さな欲を生んだ。
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