まだ雌堕ちてない観測者🔮とその様すら愛しい赤服🤕「お目覚めか?眠り姫」
予想の通り、体自体は幾分弱っているらしい。音の持ち主が部屋に入る間際に足音を知覚した聴覚から、イライは己の状態を把握する。
それが何者なのか、イライには疾うに予想がついていた。それだから、地面に視線を落としたままの顔を擡げるつもりはなかったのだ。視線をやれば、その人物を…何故だかは不明だが…少なからず高揚させることになるとイライは知り得ていた。
しかし、細やかな犯行も兼ねた思惑は無に帰すこととなる。体を拘束する蔦の内、幾本かが顔にへと這い、その面持ちを強制的に擡げさせたからだ。
渋々眼前を見れど、薄暗がりの室内では一向に視野が良くならない。
ただ、暗がりの中で浮かび上がるように佇むひとりの赤い男だけは、嫌味なほどしかと視ることができた。
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