巡りて盈月盈月は漸次、相助なるうえでこそ真に満ちたり。
※盈月(えいげつ)
新月から満月になるまでの月。
東の空より浮かんできた孤月をひとり、たたらばの屋根よりぼうっと眺める。
あたりは次第に夜の帳が下りていき、里の家々には少しづつ明かりが灯っていくのが見える。肌を撫でる風に季節の移ろいを感じつつ、普段なら夕餉の支度を始める時間だが、今夜はひとり。昼食の残りでもあたため直せば済むことだと、自分のことながらどこか他人事のようだ。
今はそんな事よりも、今朝、偶然に見てしまった光景が幾度となく思い出されては、俺の思考を全てうめつくしていく。
ミカドと友人以上の関係…つまりは、恋仲として付き合うようになって、相当の月日が過ぎた。
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