暖かいガタゴトと揺れる車内。加えて窓から差し込む暖かな光を浴びるのは眠りを誘うのにうってつけだ、と思いながら座り慣れたいつもの席でうとうとと意識が薄れていく。
ふと聞きなれたアナウンスが耳に飛び込んできて、慌てて立ち上がりかけた。電光掲示板に目をやれば、最後に記憶していた3つ後の駅、つまり今回降車する駅が表示されている。危ない。ここで乗り過ごしてしまったら待ち合わせの時間に遅れてしまう…!と、内心平汗をかきつつ、降車する為に今度はゆっくり余裕を持って焦りを隠すように立ち上がり、扉の前に立った。そういえば、とカバンからスマホを取り出しトークアプリを開く。
(『先輩。今駅に着きました。もう10分程で先輩の家に到着します。』…と。これでいいかな。)
1378