大掃除を終えて一息つく暇もなく、年始を控えた本丸は新春の準備に慌ただしくなっていた。お節の準備に追われる特別編成の厨番に、正月飾りの用意を任された買い出し部隊、年内に残務整理を行うべく奮起する事務方一同。特に準備の任務を受けていないものたちも、彼らが抜けた穴を補うために内番や出陣、遠征に余念がない。何せ、時間遡行軍の進軍には盆暮れ正月など関係ないのである。
「敵さんも年末年始くらい休めばいいのにな」
急遽出陣の命を受け、玄関先に集合する第二部隊を横目にそうつぶやいたのは、厨番を手伝う鶴丸国永だった。廊下で立ちどまったかと思えばそんなことを言うので、隣にいた髭切も「そうだねえ」と鷹揚に応じる。
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