同棲彰冬 近くで人の気配と物音がして意識を戻される。目を開けると、橙色の天井が見えた。
「——目が覚めたんだな。おはよう、彰人」
反射的に目線が向いて、枕の上で頭を傾けたオレは何度も瞬きをした。ぼやけた視界の中から、すぐ傍にいるであろう冬弥を探るために。
だが、いつまで経っても霞んだままの視界に瞬きを諦めてぼうっとしてると、オレの様子を怪訝に思ったのか、冬弥は顔を近づけてきた。
「……はよ、」
空気みたく発せられた掠れた自分の声に思わず苦笑する。近づいてくれたおかげで冬弥は聞き取れたみてえだが、いまの短い返答にオレの容態を察したらしく、前髪の隙間でくっと眉間を寄せていた。
「…おはよう。起こしてしまったか?」
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