彰冬+杏こは「ねぇ、冬弥。冬弥って彰人が自分の知らない人と楽しそうに喋ってるのを見ると、どう感じる?」
「…どう、とは?」
練習が休みの放課後。WEEKEND GARAGEに呼び出された理由を訊ねたかったが、先に話題を振られてしまった。しかし、意図が理解できず聞き返す。
白石は手元のアイスティーをストローで回しながら、唸り声を上げる。
「その〜……ほらあのー…『この人は俺の知らない彰人を知っているんだな』とか、自分といるよりも楽しそうに見えて、モヤモヤ〜ってしたり…とか……?」
「ない、な」
「え 嘘でしょ もう一回ちゃんと思い出してよ!」
椅子から腰を上げた白石は、テーブルに手をついて前のめりになる。コーヒーカップのソーサーが振動でカタカタと揺れた。俺がカップを持ち上げたタイミングがもう少し遅れていたら、テーブルに零していたかもしれない。
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