気まぐれお宅訪問.
(まさかこの古そうな平屋……?)
郊外の住宅地にある和風な一軒家を、門扉の外から覗き込みながらエイトは首を傾げていた。もしかしたら間違いかも、と手元にあるスマートフォンの画面を見直すが住所は合っていた。地図アプリも目的地に到着したことを知らせている。
「人の家の前をうろつかないでください」
「! うわッ……!」
突然、すぐそばから人の声がしてエイトは思わず飛びすさった。いつの間にか傍らに立っていた玖夜は、どこかへ出かけていたのかビニール袋をひとつ提げていた。
「俺が来るってわかってて出かけるなっつーの」
「わかっていたからですよ。この家に人をもてなせるような物はありませんからね」
「お、なんだよ、気使ってくれたってこと? 玖夜さまでもそんなこと考えるんだな」
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