対抗心「アリーサ、書斎のでん…」
室内灯が僕の言葉が終わるより早く、ぴっ、と音を立ててついた。
「……アリーサ、エアコンの温度を…」
やはり、言い終えるより前にエアコンの温度が下がる。
目をやったのは、最近うちに来たスマートスピーカーじゃなくて、僕の後ろで資料を添削してる一号。
「一号?」
「……なんだ」
もう1度下げるか?と目を上げた一号に、いや、と断りを入れて、また資料に目を戻した。
「あ!そうだ、アリーサ…」
「教授には今朝連絡してある」
「え、」
ノーヒントで僕の次の行動を読んで先手を打ってる一号に、思わず固まる。
というか、どうして今メール送って欲しいってわかったんだ?なんて事を考えながら、また一号を振り返った。
「えっと、一号?どうしたの?」
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