欲深きもの 鍾離と公子は酒宴と閨を共にする仲だった。
始まりは些細なもの。深酒から下世話に落ちた会話。売り言葉に買い言葉、煽り煽られいつの間にかひん曲がったやり取りは、男二人を臥床に沈めることになる。
どちらが始まりか、なぜ公子が受け身側へと回ったのか、なぜ生殖の必要のない魔神の鍾離に欲が芽生えたのか。二日酔いの頭痛と爛れきった白布の上の問答に大した意味はない。交合いを持った二人に残ったのは、身体の相性がすこぶる良いという結果だけ。そして、それは再びお互いに手を伸ばす理由に充分だった。
なんせ二人とも少しばかり色恋の情緒に欠けていたので。心より先に、損得勘定と肉欲が身体を動かしてしまったのだ。
しかし、それもこれも公子が璃月に駐在していた頃のこと。他の任地へ行くとさっさと去ってしまえば、鍾離の肉欲も不思議なくらいさっぱりと消え失せていた。
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